解決事例
赤信号で停車中追突され負傷、14級の後遺障害が認定されたが損害賠償金額を巡り裁判に。弁護士が入り被害者の要求をかなり認めた金額で和解した事例
1.事故状況
Aさんが赤信号で停車していたところ、後続車に追突されました。追突の衝撃は非常に強く、Aさんの車は後部がおおきく凹んで、リアパネル、リアフロアなどの構造部分まで損傷しました。
Aさんは頚椎捻挫、腰椎捻挫の傷害を受け、長期に渡り整形外科に通院し治療を余儀なくされ、事故から9カ月後に症状固定となりました。
2.相談のきっかけ
Aさんは知人から紹介を受けて、事故直後に当事務所の弁護士に相談に来られました。Aさんは任意保険の弁護士特約に加入しておられたので、弁護士と面談してから、加害者側保険会社との今後の交渉を弁護士に委任されました。
3.弁護士の活動
当初、加害者側保険会社は、事故後3か月で治療費の支払いを打ち切ると通告してきました。Aさんは首や腰の痛みが続き、仕事にも差し支える状態であったので、弁護士と相談してAさんは治療を継続しました。
事故後9カ月で症状固定した後、弁護士は後遺障害診断書、MRI画像および画像所見等の資料を揃え、自賠責調査事務所に対し後遺障害認定の被害者請求を行いました。
弁護士は、頚椎や腰椎のMRIから頚椎や腰椎に神経根症状の発生がうかがわれることや、頸部や腰部の痛みが継続していて運動障害も盛られることから、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として、Aさんは12級の後遺障害に該当すると主張しました。
自賠責調査事務所は、Aさんの後遺障害は「局部に神経症状を残すもの」と判断し、14級の後遺障害と認定しました。
4.弁護士関与の成果
Aさんの後遺障害等級の認定を受けて、弁護士は加害者側保険会社と損害賠償についての示談交渉を行いました。
加害者側保険会社の提示した示談案では、治療費・通院費・慰謝料は事故後3カ月までの算定をしていました。弁護士は加害者側保険会社と交渉をしましたが、自賠責で後遺症の認定があるにもかかわらず、相手側の対応は変らなかったのでAさんと協議して訴訟提起をしました。
訴訟で、相手側は、症状固定日が事故後3か月であり、治療が長引いたのは頚椎や腰椎に経年性変化による症状が事故と無関係に発生していることによると主張しました。
弁護士はAさんの症状や治療経過を詳細に説明し、そのうえで医師が事故後9カ月に症状固定と判断していることや、自賠責が後遺症を認定して、症状固定日までの治療費を含めた自賠責保険金を支払っていると反論しました。
裁判は1年近くに及びましたが、裁判所からの和解案に双方が同意して和解が成立しました。
和解額は当初の相手方の示談案に比べ総額で135万円(45%)アップしました。治療費を除いた金額では128万円(50%)のアップとなりました。
損害賠償金の内訳
加害者側保険会社提示額 | 和解額 | |
治療費、交通費等(労災除く) | 42万円 | 49万円 |
入通院慰謝料 | 48万円 | 94万円 |
逸失利益(5%) | 100万円(3年) | 160万円(5年) |
後遺障害慰謝料(14級) | 110万円 | 110万円 |
300万円 | 22万円(調整金) | |
435万円 |
5.弁護士の所感
事故による後遺障害について、加害者側保険会社は既往症によるものであるとか、事故との因果関係がないとか主張して認めないこともあります。
この事例のように、医師の後遺症診断書の記述を無視して、事故後3カ月で症状固定として治療費の支払いを拒否するというのは極端なケースです。
このような場合は、被害者の主張を通すには裁判に訴えるしかありません。その場合、弁護士費用や時間が余計にかかりますので被害者の負担は大きくなります。
弁護士費用のことを考えると、任意保険の弁護士費用特約を付けておくことがお勧めです。弁護士特約がないと、費用対効果を考えて、不満がありながら加害者側保険会社の提案を受け入れざるを得ないこともあります。
事故で身体的な被害を負った上に、示談交渉で精神的なダメージを負わされるのはまったく不合理なことです。
加害者に対し、正当な損害賠償を要求するのは当然の権利ですが、それができるようにあらかじめ任意保険契約の際に考えておくのも大事なことです。
高の原法律事務所
所長 坪田 園子
代表弁護士である坪田園子は、「顔の見える関係」を何より大切にしております。依頼者とは、必ず直接お会いして、お話をじっくりとお伺いしたうえで事件をお受けしております。奈良の高の原という奈良の郊外で、地域密着の依頼者対応をモットーとしております。最初は不安な顔で相談に来られた方も、無事に解決した後は、笑顔になって帰られます。一人でも多くの方の笑顔が見られるように精進致します。ぜひお気軽にご相談をくださいね。