コラム
交通事故後の家族との関係:サポートとコミュニケーションの重要性
2024.05.20 交通事故の基礎知識交通事故は被害者本人だけでなく、その家族にも大きな影響を与えます。
事故後、家族は感情的になったり心身の負担に直面したりし、これが家族間の関係に影響を与えることがあります。
しかし、事故後も家族の強固な絆を保つためには、心身のサポートやコミュニケーションを大切にする姿勢が極めて重要です。
そこで今回は、高の原法律事務所の坪田弁護士に、交通事故後の家族のサポートがいかに重要かについて解説してもらいました。
交通事故後の家族との関係
ーー 交通事故にあった後、家族はどのようにかかわるのがよいのでしょうか?
交通事故の被害者が事故前のように社会へ戻るためには、家族のサポートが非常に重要です。
事故後は、身体的なケアや日常生活のサポートが必要になるでしょう。
また精神的にも落ち込みやすく、メンタル面のケアも必要です。
さらに治療など必要な手続きを代わりにすすめなければならないこともあります。
身体面、精神面、手続きの面から詳しく解説しますね。
身体面や日常生活のサポート
被害者が日常生活に支障をきたしている場合、ご家族は日常生活のさまざまな側面でサポートする必要があります。
食事の準備や家事、ショッピング、子どもの世話など、被害者が行うには難しい活動を代行しなければなりません。
また被害者が快適に過ごせるように、適切な環境整備も必要になることがあります。
ベッドや椅子、必要に応じてバスルームやトイレの改修など、身体的なニーズにあった環境整備が求められます。
メンタル面のケアについて
事故後はお互いの感情を受け入れ、共有することが重要です。
事故のショックや不安、悲しみなどの感情は、被害者本人はもちろんご家族にもあります。
家族だからこそオープンに話し合い、感情を共有することで、理解を深め支え合うことが大切です。
精神的なダメージが大きい場合には、PTSDやうつ病といった症状に苦しむこともあります。
加害者側の保険会社とのやりとりが、被害者の方にとってストレスになることもあります。
家族間でしっかりとコミュニケーションをとり、家族で一緒になって乗り越えるようにしましょう。
手続きの面について
被害者となったご家族の身体的もしくは精神的なダメージが大きく、ご自身での手続きが難しい場合、ご家族の対応が求められます。
具体的には下記のような方面に対して手続きをすすめる必要があります。
- ・病院
- ・保険会社
- ・警察
- ・勤務先
手続きが多くて困った場合は、弁護士などの専門家に相談することで負担を軽減することも可能です。
家族が受け取れる慰謝料
ーー ご家族のサポートの重要性については理解できました。交通事故は被害者本人だけでなく、ご家族にも大きな損害を与えますが、ご家族が損害賠償を受け取ることはできないのでしょうか?
被害者に重症な後遺障害が残った場合、本人はもちろんご家族も加害者から慰謝料を受け取れることがあります。
家族に対する慰謝料は、法的に「近親者慰謝料」とされ、被害者の死亡や重傷によって家族が受ける心理的・経済的な損失や苦痛に対する補償として支払われます。
ただし近親者慰謝料が支払われるのは、後遺障害等級のなかでも1級や2級などかなり重度と認定されたケースに限られるので、むちうちなどを理由とした後遺障害認定では受け取れません。
近親者慰謝料の額は、事故の状況や被害者との関係性など、さまざまな要因に基づいて決定されます。
一般的には以下のような要因が考慮されます。
- ・家族の関係性
- ・被害者の収入と家族の経済的依存
- ・心理的苦痛
- ・家族の将来への影響
近親者慰謝料を受け取れるケースは決して多くありませんが、支払いに関する具体的なルールや計算方法を知りたい場合は、弁護士など法律の専門家に相談するのがよいでしょう。
「付き添い看護費」や「将来介護費」は請求可能
ただし後遺障害の認定にかかわらず、被害者のご家族がサポートするうえで負担した費用は損害賠償として請求できる可能性が高いです。
ご家族が被害者の付き添いや介護を行うために、仕事を休んだり、専門の看護師や介護士を雇ったりすることがありますよね。
こういったケースでは、介護や看護が必要かつ相当と認められる限りにおいては、「付き添い看護費」として損害賠償請求ができます。
ただ、通常は入院した場合、病院は完全看護となるでしょうから、このような場合は、家族の付添料は認められません。
また、将来の介護が必要になると認められる場合、将来の介護費用を補償する「将来介護費」を求めることも可能です。
弁護士に相談するメリット
ーー 家族が交通事故にあうと本人だけでなく、家族も大変な苦労をすることになるのですね。ご家族の方の負担を減らすにはどのような方法がありますか?
被害者の方にとってご家族は事故時の精神的なサポートの面で非常に大きな役割を担います。
そのため、まずは日常生活やメンタル面のケアなど、ご家族にしかできないことを優先するのがよいでしょう。
その代わり、保険会社への対応など手続き面は一部弁護士に任せられます。
弁護士であれば、ご本人ご家族が経済的な面でも、適正額の損害賠償を受け取れるように代わりに動いてくれます。
ご家族は自分たちにしかできないケアに注力しやすくなりますよ。