コラム
弁護士と行政書士の違い
2022.01.13 交通事故の基礎知識被害者が、加害者(もしくは相談者が加入している保険会社)から、より高額で、より適切な損害賠償を得るためには、行政書士ではなく、弁護士が適任です。
その理由は下記の通りです。
1 行政書士は、示談交渉ができません
行政書士は、依頼者の求めに応じて、交通事故に関する書類の作成や示談書を作成することはできます。
しかし、行政書士は、被害者に代わって、保険会社との交渉や損害賠償の請求などを行うことはできません。
弁護士法72条の「法律事件」(法的紛争事件=争訟性のある事件)に該当する場合には、保険会社との交渉や損害賠償の請求を行うと、処罰を受けると規定されているのです。
しかし、交通事故の被害者救済のためには、単に書類作成のみでは足りません。
保険会社の主張と被害者の主張が違うことが普通であり、自己の言い分を認めてもらうために、専門家に依頼したいと思うはずです。
より高額で、より適切な賠償金を得るためには、保険会社と争って、粘り強い交渉をすることが不可欠なのです。
一見、行政書士に書類を作成してもらう方が安く済むように思われますが、弁護士が交渉をした方が、よりよい結果を得ることができます。
後遺障害の状況と費用面から、弁護士ではなく行政書士に書類を作成してもらい、保険会社との交渉を被害者自ら行う方がよい場合には、そのようにアドバイスさせていただきます。
2 弁護士は、裁判などの経験を積んでいるので、事件の的確な分析・判断ができます。
弁護士は、交通事故の被害者救済のために、裁判を業務として実際に経験しております。
これに対し行政書士は、裁判の代理人にはなれませんので、違法な行為(弁護士法72条違反の行為)をしていない限り、このような経験を積んでいないのが通常です。
ですから、交通事故の相談において、適切な賠償金額の算定や加害者(保険会社)と争点などにつき、裁判での経験、裁判例を踏まえた的確な分析や判断ができるのは、一般的には、行政書士ではなく、弁護士です。
3 相談料・弁護士費用も、行政書士に比べて差はありません。
弁護士に相談や、依頼をすると多額の費用がかかるのではと心配されると思います。
しかし、交通事故の法律相談に関しては、無料相談を行っています。
しかも、弁護士が介入することにより、ほとんどの場合に損害賠償金の増額が得られますので(賠償金額の注意点参照)、依頼者は弁護士報酬を支払っても、弁護士に依頼しない場合に比べて多くの賠償金を得ることができます。
また、最近は、ご自身の自動車保険に弁護士費用特約をつけおられる方が増えてきています。
この特約があれば、弁護士費用は制限範囲(一般的には300万円)を超えない限り、自己負担なく弁護士に依頼ができます。
4 最初から、弁護士に相談をした方がよい!
行政書士に相談をして、その後保険会社との交渉の段階になって、弁護士に相談・依頼するというのでは、結果的に時間と手間がかかるだけです。
交通事故被害の相談・依頼は、最初から弁護士に相談することをおすすめします。