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コラム

死亡事故の慰謝料相場は?弁護士が損害賠償額を解説

2024.07.02

もしもご家族の方が交通事故で亡くなってしまった場合、深い悲しみと同時に将来の不安も抱えてしまいます。
悲しみや将来の不安を少しでも和らげるためには、加害者から適正額の損害賠償を受け取ることは大切です。
そこで今回は、高の原法律事務所の坪田弁護士に、交通事故で死亡した場合の慰謝料など損害賠償請求について解説してもらいました。
 

死亡事故で請求できる損賠賠償金

ーーもし交通事故で被害者が亡くなった場合は、ご家族はどういった名目で損害賠償請求ができますか?
 
死亡事故になった場合、次のような名目で損害賠償請求ができます。
 

  • ・死亡慰謝料
  • ・死亡逸失利益
  • ・葬儀費用
  • ・亡くなるまでの入通院費

 
それぞれ解説します。
 

死亡慰謝料

被害者本人とそのご遺族が受けた精神的苦痛に対する補償が死亡慰謝料です。
死亡慰謝料は「被害者本人に支払われる慰謝料」と「被害者遺族に支払われる慰謝料」の2種類があります。
ただし被害者はすでに亡くなっているため、「被害者本人に支払われる慰謝料」はご遺族の中から相続人が受け取ることになります。
次に該当する人たちです。
 

  • ・配偶者
  • ・子
  • ・子がいない場合は父母
  • ・子も父母もいない場合は兄弟姉妹

 

死亡逸失利益

死亡逸失利益は、被害者が生きていれば将来得ていたと見込まれる収入利益のことで、損害賠償として請求可能です。
死亡逸失利益額には、職業や年齢、収入など複数の決定要因があります。
死亡逸失利益は、本来であれば年々受け取るべきですが、将来受け取るであろうものも現時点で一括して支払われる関係上、調整(中間利息控除)としてライプニッツ係数というものが使われます。
算出の計算式は下記です。
 
死亡逸失利益 =年間基礎収入 × (1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
 
被害者は、事故で死亡しなければ、将来収入を得ている一方、自身の生活費が発生します。
そのため、逸失利益の計算をする際は、基礎収入から被害者の生活費として一定割合を控除し(生活費控除率)、これに就労可能年数に応じてライプニッツ係数を乗じて算定することになります。
生活費控除率は、被害者が夫などの一家の支柱である場合は、30%~40%程度、それ以外は50%くらいまでの範囲で、決定されます。
 
就労可能年数は原則67歳までです。
そのため被害者の年齢が若いほど高額になりやすく、67歳に近づくほど額は低くなる傾向となります。
 

葬儀費用

亡くなった方の葬儀にかかった費用も請求できます。
葬儀費用については、算定基準が次の2種類あります。
 

算定基準 葬儀費用 備考
自賠責基準 一律100万円
裁判(弁護士)基準 上限150万円 手厚い葬儀の必要性が認められれば、150万円以上支払われることもある

 
裁判(弁護士)基準で請求する方が基本的に高い金額で請求可能です。
 

亡くなるまでの入通院費

被害者が事故にあってから亡くなるまでの期間、入通院していた場合は次のような費用も請求できます。
 

  • ・治療費
  • ・入院費
  • ・付添看護費
  • ・通院のための交通費
  • ・休業損害
  • ・入通院慰謝料

 
入通院慰謝料は、入通院を行っていた期間と採用する算出基準によって額が異なります。
 

死亡事故の慰謝料相場と計算方法

ーー死亡事故の損害賠償請求は、慰謝料の占める額が大きいですよね。どのように計算するのでしょうか?
 
葬儀費用のか所でも登場しましたが、死亡慰謝料には次の3つの算定基準が設けられています。
 

  • ・自賠責基準
  • ・任意保険会社基準
  • ・裁判(弁護士)基準

 
どの基準で算出するかで慰謝料は大きく変わってきます。
被害者本人への慰謝料とご遺族への慰謝料の相場は表の通りです。
 

算出基準 被害者本人への慰謝料相場 ご遺族への慰謝料相場 備考
自賠責基準 400万円
被害者に扶養家族がいる場合は200万円が加算される
請求者数
1名:550万円
2名:650万円
3名:750万円
損害賠償の総額は3000万円が上限
任意保険会社基準 保険会社によって金額は異なる。
自賠責保険と同程度か少し加算される程度になることが多い。
裁判(弁護士)基準 2000万円~3100円程度
被害者が一家の支柱になっていたかどうかなどが金額に大きく影響
裁判実務上は被害者本人とご遺族への慰謝料が合算されて支払われる

 
また裁判(弁護士)基準では、次のような場合に慰謝料の増額が認められています。
 

  • ・飲酒運転や信号無視など加害者の過失割合が大きく、悪質性が高い場合
  • ・事故直後の連絡を怠ったり、嘘の証言をしたりなど加害者が不誠実な対応をした場合
  • ・被害者が妊婦であった場合

 

交通事故の死亡慰謝料を請求するまでの流れ

ーー慰謝料の請求はどのような流れで行うのでしょうか?
 
慰謝料の請求はほとんどのケースで、加害者が加入している任意保険会社と示談交渉をしていくことになります。
保険会社はプロですから、示談交渉がはじめてとなるとなかなか思うように進まないことも少なくありません。
なお死亡事故での損害賠償請求には時効が5年と定められているので注意が必要です。
不安な際は弁護士に依頼することも方法の一つでしょう。
 

死亡事故のケースでご遺族が弁護士に依頼するメリット

ーー弁護士に依頼することで損害賠償請求額は大きくなるのでしょうか?
 
弁護士に依頼することで、裁判(弁護士)基準で損害賠償請求ができます。
また加害者側との交渉についても弁護士が間に入ることで示談を有利に進められます。
死亡事故で大切なご家族を亡くされたご遺族の悲しみははかり知れません。
精神的ダメージが大きい中、金銭的なことを考える心の余裕はないものでしょう。
交通事故の対応を熟知した弁護士のサポートが少しでも、被害者ご家族の負担を減らすことにつながればと思っております。

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