コラム
死亡事故にも役立つ弁護士特約の活用!
2024.08.20 交通事故の基礎知識交通事故は誰にでも起こり得る悲惨な出来事ですが、なかでもとくに死亡事故は被害者の家族にとって大きな悲しみと混乱をもたらします。そういったとき、適切な法的支援が受けられることは非常に重要です。そこで今回は、高の原法律事務所の坪田弁護士に死亡事故において弁護士特約の存在が役立つことをご紹介します。
死亡事故も弁護士特約は使えるのか?
ーーそもそもですが、被害者の方が交通事故で亡くなった場合、加入していた自動車保険についてる弁護士特約は使えるのでしょうか?
交通事故被害者が亡くなった場合、遺族は弁護士特約を活用できます。弁護士特約は、契約者本人以外に家族も適用可能だからです。ただし各保険会社によって家族として適用が認められる範囲が異なっているので注意が必要です。
多くの保険会社では300万円を上限とし、弁護士費用を保険で補償できるようになっています。また
死亡事故で家族が弁護士特約を使う方法
ーー被害者が亡くなった場合、遺族が弁護士特約を使えることはわかりました。保険会社に連絡すればOKなのですか?
手順としてはまずご遺族の方が、被害者の方が契約している保険会社に連絡をして弁護士特約を活用したいと伝えます。
契約者が弁護士特約に加入しており、適用範囲のご家族と認められれば、次は弁護士を探しましょう。保険会社から弁護士を紹介してくれるケースもありますが、原則はご遺族の方ご自身で弁護士を探していきます。
依頼する弁護士が見つかったら、弁護士に保険会社を伝えましょう。その後は基本的に弁護士が交渉や連絡のサポートに入ります。
なお弁護士費用については保険会社から直接弁護士に支払われるため、ご遺族の方が立て替えなくてもOKです。
死亡事故の弁護士費用の相場
ーー死亡事故のケースで、弁護士さんに相談した場合の費用相場を教えてください。300万円で足りるのか不安です。
弁護士費用は一般的に以下のような項目で構成されています。
- ・相談料
- ・着手金
- ・報酬金
- ・実費等その他
費用の内容や相場について解説していきますね。
相談料
初回相談の際に発生する費用のことで、1時間あたり5,000円〜10,000円程度が相場です。弁護士特約を活用すれば、1回につき10万円までの補償を受けられます。
着手金
弁護士が事件の対応を開始する際に支払う前払い金です。被害者の方が思うような結果にならなかったとしても支払います。費用については弁護士によって異なり、場合によっては無料としている弁護士もいます。
参考までに、かつて日弁連が定めた報酬基準(現在は廃止されましたが、踏襲している事務所もある)は下記です。
300万円以下の場合 | 8% |
---|---|
300万円を超え3,000万円以下の場合 | 5%+9万円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 | 3%+69万円 |
3億円を超える場合 | 2%+369万円 |
報酬金
いわゆる成功報酬です。得られた賠償金額に基づいて算出されます。費用相場としては、経済的利益の10%〜20%です。着手金同様に、かつて日弁連が定めた報酬基準もありますので、参考までにどうぞ。
300万円以下の場合 | 経済的利益の16% |
---|---|
300万円を超え3,000万円以下の場合 | 経済的利益の10%+18万円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 | 経済的利益の6%+138万円 |
3億円を超える場合 | 経済的利益の4%+738万円 |
実費等その他
処理に直接かかる実際の費用です。訴訟の際に必要な印紙代や郵便切手代、刑事記録の謄写代などが含まれます。
ご遺族の方は弁護士特約を活用するべき
ーー費用については上限300万円を超過した分は持ち出しになるのですね。それでも弁護士特約は積極的に使うべきなのでしょうか?
弁護士特約はデメリットが少ない特約なため、我々弁護士はこの特約の活用を推奨しています。ご遺族の方が弁護士特約を活用するメリットは次の2つです。
請求できる損害賠償額が増える
死亡事故では、通常の交通事故で請求できる損害賠償の名目に加えて、ご遺族は次のような損害賠償を請求できます。
- ・死亡慰謝料
- ・死亡逸失利益
- ・葬儀費用
このときこれらの損害賠償額の算出には、次の3つの基準があります。
- ・自賠責基準
- ・任意保険会社基準
- ・裁判(弁護士)基準
これらのなかで最も高額になるのが裁判(弁護士)基準であり、弁護士が請求をかける際はこの基準を用いるのが一般的です。もし弁護士費用の持ち出しがあったとしても多くのケースでは、持ち出し分以上に裁判(弁護士)基準になることで見込まれる増額分の方が高いため、金銭的なメリットは大きいです。
示談交渉や訴訟手続きを任せられる
大切な家族を失うという悲劇に見舞われた場合、ご遺族には精神的な負担だけでなく、法的な手続きや損害賠償にかかわる交渉の負担も重くのしかかります。弁護士特約を利用することで、ご遺族は示談交渉や訴訟手続きを弁護士に任せることが可能です。弁護士が間に入ることで、ご遺族は直接のやり取りを避け、心の負担を軽減できるかもしれません。