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コラム

交通事故で後遺症が残った!自賠責保険からいくら支払われる?現役弁護士が解説

2024.08.29

交通事故によるケガで、治療を続けていてもこれ以上改善が見込めない状態(症状固定)になり、後遺症が残ることもあります。
後遺症が残った場合、後遺障害認定が受けられ、自賠責保険から慰謝料および逸失利益の支払いを受けることが可能です。
そこで今回は、高の原法律事務所の坪田弁護士に、後遺症が残った際に自賠責保険から受けられる保険金額や自賠責保険の注意点などについて解説してもらいました。
 

自賠責保険での後遺障害認定と保険金額

ーー後遺症によって後遺障害認定を受けたら、自賠責保険からはいくらの保険金を受け取れるのでしょうか?
 
後遺障害が認定された場合、認定された等級によって自賠責保険から支払われる慰謝料は異なります。
具体的な金額は自動車損害賠償保障法施行令に定められており、後遺症の程度が介護を要する場合かどうかで別表第1と別表第2に区分されます。
 
自動車損害賠償保障法施行令-別表第1
介護を要する後遺障害と認定された場合は別表第1に従い、後遺障害慰謝料は下記の表の通りです。
なお自賠責保険で補償される保険金の上限は( )内に示しています。
 

等級 保険金額
1級 1,650万円(4,000万円)
2級 1,203万円(3,000万円)

 
自動車損害賠償保障法施行令-別表第2
介護を要さない場合の後遺障害慰謝料は別表第2に従い、金額は下記の表の通りです。
保険金の上限は( )内に示しています。
 

等級 保険金額
1級 1,150万円(3,000万円)
2級 998万円(2,590万円)
3級 861万円(2,219万円)
4級 737万円(1,889万円)
5級 618万円(1,574万円)
6級 512万円(1,296万円)
7級 419万円(1,051万円)
8級 331万円(819万円)
9級 249万円(616万円)
10級 190万円(461万円)
11級 136万円(331万円)
12級 94万円(224万円)
13級 57万円(139万円)
14級 32万円(75万円)

 

後遺症があるときの自賠責保険への手続き

ーー金額についてはわかりました。後遺症があるときは自賠責保険にどういった手続きをする必要がありますか?
 
後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を損害賠償に含めるためには、医師に「後遺障害診断書」という書類を作成してもらい、審査を経て後遺障害等級認定されなければなりません。
後遺障害等級認定の審査は、「損害保険料率算出機構」という機関が行っており、申請方法には次の2パターンがあります。
 

  • ・加害者請求(事前認定)
  • ・被害者請求

 
なお、後遺障害認定の申請にかかわらず、自賠責保険への請求は上記の2種類です。
それぞれの流れと注意点について解説します。
どちらを選択するかは、被害者の状況や意思、加害者との関係などを考慮して決定することが重要です。
 

加害者請求(事前認定)

加害者請求は、名前の通り加害者側(ほとんどは任意保険会社)に一任して被害者の後遺障害認定申請や、自賠責保険金請求の手続きを進めてもらう方法です。
加害者が任意保険ついていれば、通常は任意保険会社が被害者に対して治療費の支払い対応をし、後日任意保険会社が自賠責保険に請求を行うことが多いです。
被害者にとっては、加害者の任意保険会社に手続きを任せられるため、その分申請までの手間は少ないです。
その反面、証拠となる書類などの作成も任意保険会社任せになるため、請求額が適正額にならなかったり、後遺障害認定を適切に受けられなかったりする可能性があります。
任意保険会社も自社利益のために、できれば支払いを低くおさえたいと考えるからです。
そのため弁護士の立場としては、後遺障害認定を受けられる可能性があるのであれば、後遺症請求については、次の被害者請求をおすすめしています。
 

被害者請求

被害者請求は、被害者自身が直接加害者の自賠責保険会社に対し、後遺障害認定の申請や、自賠責保険金を請求する方法です。
注意点としては、被害者が直接請求するため、自ら書類をそろえる手間がかかる点です。
しかし自分で有力な証拠を漏らさず加えて書類の準備が行える分、後遺障害認定を受けやすかったり、適正な損害の認定をしてもらえる可能性が高まります。
また被害者請求の場合は、被害者が示談成立前に一部の保険金を受け取ることも可能です。
 

自賠責保険から保険金を受け取れるのはいつ?

ーー自賠責保険への損害賠償請求も、加害者請求と被害者請求の2つがあるとわかりました。保険金を受け取れるのはいつになるのでしょうか?

 
被害者請求の場合、自賠責保険から保険金を受け取れるのは、自賠責請求をして受け付けられてから、約2週間~1か月後です。
治療費などの請求を後遺症請求と同じタイミングで自賠責に請求した場合は、症状固定のあとになるので、受け取りまで時間がかかります。
それまでの期間、治療費や通院費は自分自身で建て替えなければならず、金銭面での負担がかかってしまうため、なるべく早く受け取りたい方もいるでしょう。
そういった際は自賠責保険に対して「仮渡金請求」を行うことで、示談成立を待たずに一定の保険金を前もって受け取ることが可能です。
仮渡金請求で受け取れる金額は、ケガの状況によって5万円・20万円・40万円のいずれかになります。
示談成立後に損害賠償を受け取る際、仮渡金請求で受け取った金額は差し引かれることになります。
 

自賠責保険の注意点

ーー自賠責保険から保険金を受け取れるタイミングは遅いことも多いのですね。ほかに注意点はありますか?
 
自賠責保険は基本的に被害者の救済を目的とした保険のため、被害者にとっては有利な面もある一方で、次のような注意点もあります。
 

  • ・7割以上の過失による減額
  • ・時効

 
それぞれについて解説します。
 

7割以上の過失による減額

交通事故では加害者と被害者の過失割合がだされます。
しかし追突のように100%加害者が悪いというケースではなく、事故態様によっては、被害者側にも一定の落ち度が認められることがあります。
自賠責保険では被害者側に7割以上の過失がない場合、保険金は減額されません。
しかし7割以上の過失があった場合は、過失割合に応じて減額されます。
被害者側に100%の責任がある事故については自賠責保険の支払いは受けられません。
たとえば次のようなケースです。
 

  • ・被害者の車両がセンターラインをオーバーして、対向車と衝突した
  • ・被害者車両が赤信号にもかかわらず交差点に侵入して事故が起きた
  • ・被害者車両が前方の車両に追突した

 

時効

自賠責保険の請求については時効があり、時効期間は3年です。
被害者請求をする場合、交通事故発生日の翌日から起算されるのが原則ですが、後遺障害にかかわっては、症状固定と診断された翌日から起算します。
時効を過ぎてしまうと、自賠責保険に請求できる権利そのものを失ってしまうため、注意が必要です。
なお時効期限が近づいてしまい、期限が迫った場合は、時効の中断申請をすることが可能で、保険会社が認めた場合は時効を中断できることもあります。
 

自賠責保険以外の賠償金支払い基準

ーー過失割合と時効に注意が必要なのですね。自賠責保険の賠償は被害者の救済に対して最低限の補償と聞いたのですが、本当に適正額といえるのでしょうか?
 
後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を含めて、保険金の算定基準には自賠責保険以外にも次の2つの基準があります。
 

  • ・任意保険会社基準
  • ・裁判(弁護士)基準

 
自賠責保険での基準は、裁判(弁護士)基準よりも大幅に低く設定されている点に注意が必要です。
それぞれの基準について解説します。
 

任意保険会社基準

任意保険会社基準は、各保険会社が独自に定めている基準で、基本的に非公開です。
賠償額については自賠責基準とほぼ同程度か、ほんの少し高めになるのが一般的です。
 

裁判(弁護士)基準

裁判(弁護士)基準は過去の裁判例に基づいて裁判所が用いる基準であり、弁護士が請求をかけるときもこの基準を採用していることから弁護士基準とも呼ばれています。
ほとんどのケースで、自賠責基準と任意保険会社基準より高額になります。
たとえば上記で紹介した後遺障害慰謝料については次の表の通りです。
 

等級 裁判(弁護士)基準 自賠責基準
1級 2,800万円 1,150万円
2級 2,370万円 998万円
3級 1,990万円 861万円
4級 1,670万円 737万円
5級 1,400万円 618万円
6級 1,180万円 512万円
7級 1,000万円 419万円
8級 830万円 331万円
9級 690万円 249万円
10級 550万円 190万円
11級 420万円 136万円
12級 290万円 94万円
13級 180万円 57万円
14級 110万円 32万円

このように2〜3倍裁判(弁護士)基準の方が算定額は高くなります。
 

自賠責保険への請求に不安なときは弁護士に相談を

ーー裁判(弁護士)基準になると増額ができることはわかりました。自賠責保険への請求は、加害者請求か被害者請求かも迷いますし、できれば裁判(弁護士)基準で請求できたらいいと思うのですが、どこに相談すればよいでしょうか?
 
弁護士に相談することで多くの不安な点が解消されますし、何より受け取れる保険金が増額することも多いです。
弁護士に依頼するメリットをご紹介しますね。
 

被害者請求でのサポートを受けられる

すでに解説したように、後遺障害認定の申請は被害者請求にすることで認定率も高まりますし、納得しやすい額で請求ができます。
しかし交通事故で心身のダメージを受けた状態で、しかも後遺症で辛い思いをしているなか、自分で書類を準備するのは精神的にも時間的にも大きな負担がかかるものです。
弁護士に依頼することで、必要書類の準備サポートを受けられるので、負担を大きく軽減できますよ。
また後遺障害認定申請が適切に審査されるように、自賠責保険の等級認定実務を熟知する弁護士であれば、医師に後遺障害診断書の作成について連絡することも可能です。
後遺障害診断書は審査で最も重要視される書類のひとつなので、しっかりと認定されるためのポイントをおさえたものにしておく必要があります。
 

裁判(弁護士)基準による慰謝料増額が期待できる

弁護士が示談交渉に入ることで、裁判(弁護士)基準で損害賠償請求ができます。
後遺障害慰謝料などの増額をしたい場合は、弁護士に交渉を依頼しましょう。
プロである保険会社を相手に自分で交渉を進めるのは、なかなか精神的に負担が大きいものです。
弁護士に任せることで、安心して不利にならないように請求ができますよ。

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