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コラム

交通事故による高次脳機能障害とは?後遺障害認定されるポイントを弁護士が解説!

2024.10.07

交通事故による高次脳機能障害は、被害者の日常生活や仕事を一変させる後遺症の一つです。
事故による脳の損傷が原因で、記憶障害や注意力の低下、感情のコントロール不全など認知機能に関する症状が現れます。
しかしこの障害は外見ではわかりにくいため、適切な診断や後遺障害としての認定を受けることが大切です。
そこで今回は、高の原法律事務所の坪田弁護士に、交通事故による高次脳機能障害について、後遺障害認定されるポイントなどについて詳しく聞いてみました。
 

交通事故による高次機能障害とは?

――高次脳機能障害は交通事故によってなるのでしょうか?
 
高次脳機能障害は、頭部が損傷を受けることで発症します。
脳が物理的に損傷を受けた際、高度な認知機能が失われてしまった状態です。
とくに交通事故における頭部外傷は、広範囲の脳損傷を伴い、高次脳機能障害を引き起こす頻度が高いとされています。
高次脳機能障害と認知症はどちらも脳機能に障害がある状態である点で、症状は似ている部分も多いです。
しかし認知症は時間経過とともに進行するケースが多いのに対して、高次脳機能障害の場合、進行はあまりしません。
むしろ回復するケースもあります。
 

高次機能障害の主な後遺症

――高次脳機能障害は具体的にどのような症状があるのでしょうか?
 
高次脳機能障害の代表的な後遺症として次の5つがあげられます。
 

  • ・記憶障害
  • ・注意障害
  • ・言語障害
  • ・遂行機能障害
  • ・社会的行動障害

 
それぞれについて解説していきます。
 

記憶障害

記憶障害はその名の通り、記憶に関する機能が大きく損なわれます。
物忘れや記憶喪失などが主な症状です。
記憶障害には、次の3つのタイプがよく見られます。
 

前向性健忘

新しい情報の記憶が困難になります。
事故前のことは覚えていても、事故後の出来事を思い出せない状態が該当します。
 

逆行性健忘

事故前の記憶を失う状態です。
事故の数日前や数年にわたる記憶が消失することもあります。
 

全健忘

最も重度の症状で、過去の記憶も新しい記憶もすべて失われた状態です。
生活全般に大きな支障をきたします。
 

注意障害

注意障害は、集中力が持続せず、複数のタスクを同時にこなすことが難しくなる障害です。
たとえば、作業中によくボーっとしていたり、かんたんなミスが続くといったりなどの症状がでます。
 

言語障害

言語障害は、言葉を理解したり発したりする能力が損なわれる状態を指します。
たとえば、不明瞭な発音になってしまったり、文章を読んでも意味を理解できなかったり、自分で書いた内容を後で認識できないことがあります。
 

遂行機能障害

遂行機能障害とは、計画を立てて実行する能力が損なわれ、スムーズに行動できなくなる障害です。
たとえば、作業の途中で何をすべきかを忘れてしまったり、次に何をすべきかを判断できなかったりします。
このため、単純な行動でも時間がかかり、日常生活に支障をきたします。
 

社会的行動障害

社会的行動障害は、感情の制御ができなくなり、社会的な場面で不適切な行動を取ることが増える障害です。
たとえば、急に怒ったり泣いたりするなど、感情の起伏が激しくなります。
周囲を困惑させる行動が見られ、家族や職場での人間関係が崩れることで日常生活に支障をきたします。
 

高次脳機能障害が後遺障害認定されると

――交通事故で高次脳機能障害と診断されたら、その分慰謝料を受け取れるのでしょうか?
 
高次脳機能障害は、適切な診断を受けることで後遺障害として認定されることがあります。
後遺障害認定されると、後遺障害慰謝料および後遺障害逸失利益を損害賠償に含めて加害者に請求できます。
 

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、被害者が受けた後遺障害に対する精神的苦痛に対する賠償金です。
金額は、後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級は1級から14級まであり、等級が高いほど障害の程度が重く、慰謝料の金額も高額です。
なお後遺障害慰謝料を算出する際は、
 

  • ・自賠責基準
  • ・任意保険会社基準
  • ・裁判(弁護士)基準

 
と3つのうちのどれかの基準が用いられます。
基本的には、自賠責基準→任意保険会社基準→裁判(弁護士)基準の順で高額になっていきます。
任意保険会社基準は非公開ですが、自賠責基準と裁判(弁護士)基準は等級によって請求できる金額が定められており、下記の表の通りです。
 

等級 裁判(弁護士)基準 自賠責基準
1級 2,800万円 1,150万円
2級 2,370万円 998万円
3級 1,990万円 861万円
4級 1,670万円 737万円
5級 1,400万円 618万円
6級 1,180万円 512万円
7級 1,000万円 419万円
8級 830万円 331万円
9級 690万円 249万円
10級 550万円 190万円
11級 420万円 136万円
12級 290万円 94万円
13級 180万円 57万円
14級 110万円 32万円

 

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益は、交通事故で後遺障害を負ったことにより、将来的に得るはずだった収入や利益を失う損害に対する賠償金です。
具体的には、事故によって仕事ができなくなったり、労働能力が低下したりしたため、減少した収入を補償するものです。
逸失利益は、以下の計算式で求められます。
 
事故前の年収 × 労働能力喪失率 × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数
 
ライプニッツ係数とは、将来にわたって支払われる金額の現在価値を調整するものです。
後遺障害逸失利益は、事故による経済的損失を補填する賠償であり、障害の程度や収入状況に応じて金額が大きく異なります。
状況によっては、後遺障害慰謝料より何倍もの額になることもあります。
 

高次脳機能障害が後遺障害認定されるポイント

――高次脳機能障害が後遺障害認定された際は、受け取れる損害賠償が跳ね上がるのは理解できました。しかしかんたんに後遺障害認定されるのでしょうか?
 
高次脳機能障害は目で見て判断するのが難しいうえ、症状のある方が実際に認定の申請手続きを進めるのは非常に困難です。
そもそも高次脳機能障害になっていることに気づかないケースも存在するでしょう。
そういった理由もあり、実は高次脳機能障害で後遺障害認定を受けるのにはさまざまなハードルがあります。
高次脳機能障害が後遺障害認定されるためには次の3つのポイントをおさえておく必要があります。
 

  • ・高次脳機能障害の症状がある
  • ・画像で脳損傷が確認できる
  • ・事故直後に意識障害があった

 
それぞれについて解説します。
 

高次脳機能障害の症状がある

記憶障害や注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害など、上記で解説した高次脳機能障害の症状が確実にでていることを証明していかなければなりません。
これらの症状は外見からはわかりにくいことが多いため、家族や周囲の人々がいち早く異常に気づくことが大切です。
後述しますが、日常生活状況報告書の記述で証明をしていきます。
 

画像で脳損傷が確認できる

脳損傷の画像所見は重要な証拠です。
交通事故後に行われるCTスキャンやMRIによって、脳のどの部分が損傷しているかの確認ができます。
脳挫傷やくも膜下出血、硬膜下血腫などの画像所見があれば、有力な証拠として役立ちます。
 

事故直後に意識障害があった

事故直後に昏睡状態や意識不明の状態が確認された場合、それが高次脳機能障害の直接的な原因である可能性が高いため、認定がスムーズに進む傾向があります。
ただし受傷直後に意識障害を発症していなくても後遺障害認定されるケースもまれにあります。
そのため事故直後の意識障害は必須条件とまではいえません。
 

適切に高次脳機能障害で後遺障害認定を受けるには

ーー高次脳機能障害で後遺障害認定をされるためには要件をクリアしておく必要があるのですね。適切に認定を受けるためには証明することが多く、不安に思う人も多いと思います。
 
目で確認しづらい障害であるため、適切に認定をしてもらうためにも申請側がしっかりと準備をしておく必要があります。
認定される可能性を高めるためには、次の2つの点をおさえておくことが有効でしょう。
 

  • ・日常生活状況報告書の整理
  • ・弁護士に依頼する

 
それぞれ解説します。
 

日常生活状況報告書の準備

高次脳機能障害の症状は外見からはわかりにくいことが多いため、日常生活状況報告書の作成が非常に重要です。
この報告書には、被害者の日常生活での具体的な支障や、どのような場面で問題が発生しているかをご家族が詳細に記載していきます。
たとえば、料理ができなくなったり、金銭管理が困難になったりといった日常の具体例です。
等級審査では、医師が作成する「頭部外傷後の意識障害についての所見」や「神経系統の障害に関する医学的意見」と同じように見られます。
日常生活状況報告書をしっかりと整理しておくことで適切に認定される可能性が高まりますよ。
 

弁護士に依頼する

後遺障害認定をスムーズに進めるためには、弁護士に依頼することも非常に有効です。
高次脳機能障害で後遺障害認定を受けるためには、専門的な医療知識や法律知識が必要です。
弁護士が介入することで、必要な医療記録や証拠の収集が的確に行われるだけでなく、保険会社との交渉も有利に進められます。
後遺障害等級が正当に認定されるかどうかは、被害者の将来の逸失利益や損害賠償額に大きく影響を与えます。
専門の弁護士に依頼することで、適切な等級認定を受けられる可能性が高まりますよ。
 

まとめ

高次脳機能障害は、交通事故によって脳が損傷し、記憶障害や注意障害、遂行機能障害などが現れる深刻な症状です。
外見からはわかりにくく、後遺障害認定を受けるためには、症状を詳細に証明するための日常生活状況報告書や、脳損傷を示す画像診断が重要です。
適切な認定を受けるためには、弁護士のサポートを受けることで手続きを円滑に進め、保険会社との交渉も有利に進められます。
不安があれば、ぜひ弁護士に相談してみてください。

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