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コラム

交通事故で症状固定と診断されたら?後遺障害認定手続きの方法について解説

2024.11.26

交通事故で負ったケガの治療がひと段落したものの治癒しない場合は、症状固定となります。
症状固定の時期は医師が診断しますが、保険会社から言われることもあります。
このような場合はどう対処したらよいのでしょうか?また、症状固定となった後の後遺障害認定の手続きとポイントについて解説します。
 

交通事故で症状固定と診断とされた後にすべき後遺障害認定と示談の内容について解説

交通事故で負ったケガは完治するとは限りません。
「症状固定」といって、症状が残っているものの、それ以上の治療効果が期待できない状態になることもあります。
「症状固定」は、医師が診断するのが一般的ですが、加害者側の任意保険会社から「症状固定なので治療費を打ち切る」という形で通告されることもあります。
このような場合、どう対処したらよいのでしょうか?
「症状固定」となった後は、後遺障害認定や示談に進みますが、その内容やポイントについても解説します。
 

交通事故の症状固定とは?

交通事故でケガを負った場合は、救急車で病院に運ばれて治療を受けることになります。
医師は交通事故の被害者の治療を行い、まずは救命を目指し、一命をとりとめたら、交通事故により負ったケガの完治を目指します。
しかし、交通事故で負ったケガの程度が重い場合は完治が難しく、ある程度治療を続けてもこれ以上は治すことができない段階に達することがあります。
症状が完治したわけではないものの、これ以上治療やリハビリを続けても治らない段階に達した時を「症状固定」と言います。
 

交通事故における症状固定の意味とは?

交通事故の被害者は、入院や治療にかかる費用、仕事を休まざるを得ないことによる休業補償、入通院慰謝料といった、交通事故によって直接負った「傷害分の補償」を加害者の任意保険会社から受け取る形になります。
傷害分の補償は、延々と受け取れるわけではなく、被害者のケガがある程度治ったら打ち切られます。
その打ち切りのタイミングは、交通事故によって負ったケガが治癒(完治)した段階、または、「症状固定」と診断された段階になります。
つまり、交通事故における症状固定は、「傷害分の補償」が打ち切られるタイミングになるため、重要な意味を持っています。
 

交通事故で負ったケガの症状固定の判断基準

交通事故で負ったケガが症状固定の段階に達したかどうかは、ケガの程度や治療の進み具合などから、主治医が決めます。
症状固定の判断基準は、特に決まっているわけではありませんが、症状ごとの一般的な治療期間を経過した場合の他、
 

  • ・治療の効果が薄らいできた。
  • ・主治医による直接の治療はなく、薬の処方やマッサージのみになってきた。
  • ・通院の頻度が少なくなってきた。

 
といったような状況になった場合は、症状固定が近いと言われています。
 
なお、症状固定は、医師が検査結果や治療効果などから、医学的に判断するわけですが、患者の自覚症状も考慮されます。
医師が言うほど、自覚症状が良くなっているとは思えないとか、治療を受けることの効果をまだ感じるといった状況ならば、医師も症状固定の判断を先送りすることもあります。
そのため、医師から、症状固定と言われてもまだ治療してほしいと感じているなら、症状固定の時期について相談することも大切です。
 

交通事故で負ったケガの症状固定の目安

交通事故で負ったケガの症状固定のタイミングは、被害者の年齢やケガの程度によっても異なりますが、おおよその目安はあります。
交通事故による典型的な症状としては、
 

  • ・打撲
  • ・むちうち
  • ・骨折
  • ・高次脳機能障害

 
があります。

それぞれのケガの具体的な内容と症状固定の目安について解説します。
 

交通事故による打撲の症状固定

交通事故で打撲や全身打撲を負う場合としては、歩行者が比較的ゆっくり走る車に衝突されたり、バイクに乗っている時に車と衝突して転倒したケースなどが考えられます。
車と衝突したり転倒したものの、被害者の体が頑丈で、運よく打撲だけで済んだというケースです。
打撲した直後は、痛みや腫れが生じますが、これらの症状は、一般的に1〜2週間程度で緩和されます。
そのため、症状固定とはならず完治する可能性が高いといえます。
しかし、打撲の部位や症状によっては、重篤な症状が生じることもあります。
1ヶ月〜3ヵ月治療を継続しても、手足のしびれやまひといった症状が残る場合は、症状固定となってしまいます。
もっとも、医師の診察や様々な検査を行っても、異常が見られない場合は、後遺障害認定の申請を行うのは難しいことが多いです。
 

交通事故によるむちうちの症状固定

むちうちとは、首の捻挫のことで、交通事故の際、追突の衝撃で首に不自然な力がかかった場合に発症します。
むち打ちは俗名で、診断名としては、頸椎捻挫や外傷性頚部症候群といったものになります。
むちうちによる直接の症状は、首の痛みですが、首には重要な神経の束が通っているため、この神経が傷つくことにより、手足のしびれやまひ、頭痛やめまいなどが生じることもあります。
 
交通事故による怪我がむちうちだけで済んだ場合は、一般的には3ヶ月程度で完治する可能性が高いと言われています。
そのため、加害者側の任意保険会社が交通事故から3ヶ月を目安に症状固定を提案する傾向があります。
しかし、任意保険会社の担当者から、症状固定を打診されたとしても、被害者の症状が残っているのであれば、医師と相談の上、治療を継続すべきなのは言うまでもありません。
交通事故によるむちうちの症状が、6カ月経過しても改善されない場合は、後遺障害認定の申請を検討することになります。
 

交通事故による骨折の症状固定

交通事故で歩行者が車にはねられ、強い衝撃を受けて転倒した場合は、骨折する可能性が高まります。
複雑骨折、開放骨折、粉砕骨折やその他、様々な形で骨折してしまうことがあります。
骨折した場合の治癒までの期間は、被害者の年齢や、骨折の程度、部位により様々です。
指の骨折程度で済んだ場合は、2週間から6週間程度で治癒することもありますが、腕や足、腰などの重要な部位を骨折した場合は、6カ月から15カ月近く治療が必要になることもあります。
骨折の場合、様々な手術を行う上、リハビリも必要になることから、医師が症状固定と診断するまでの期間は、長期化する傾向があります。
ただ、加害者側の任意保険会社は、交通事故から6ヶ月を目安に症状固定を提案する傾向があります。
しかし、骨折が症状固定に至ったかどうかは、骨の癒合状態だけでなく、関節の可動域、動かしたときの傷み、リハビリの進捗状況などから、医師が総合的に判断するものです。
関節を動かして、まだ、痛みが残る場合やリハビリを続ける必要があると感じている場合は、医師と相談したうえで、治療を継続することが大切です。
治療を継続しても、交通事故前のように関節を動かすことが難しい状態になった場合は、症状固定となります。
この場合は、後遺障害認定の申請を検討することになります。
 

交通事故による高次脳機能障害の症状固定

交通事故により、頭を強く打ったり、負傷した場合は、脳の一部を損傷してしまう可能性があります。
脳の損傷にも様々なものがありますが、思考、記憶、行為、言語、注意に関係する脳の機能が損傷してしまった場合が、高次脳機能障害になります。
高次脳機能障害になると、
 

  • ・集中力が続かない。(注意障害)
  • ・段取りよく物事を進められなくなる。(遂行機能障害)
  • ・記憶力が低下する。(記憶障害)
  • ・言葉が出てこなくなる。(失語障害)
  • ・感情や欲求のコントロールができなくなる。(感情と社会的行動の障害)

 
このような症状が表れ、交通事故前と人柄が変わってしまうことがあります。
 
高次脳機能障害の治療には、長い時間がかかり、医師が症状固定と診断するまでの期間も最低でも1年から2年はかかると言われています。
高次脳機能障害が症状固定の状態になったと医師が診断した場合は、後遺障害認定の申請を検討することになります。
 

症状固定と言われた場合の対処法

症状固定は、医師が診察して判断する場合と、加害者側の任意保険会社から言われる場合があります。
それぞれの対処方法について確認しましょう。
 

医師から症状固定と言われた場合

医師が「症状固定」と診断した場合は、医学的に症状固定の状態になった可能性が高いといえます。
「症状固定」と診断されてしまった場合は、その後にかかる治療費について、加害者側に負担を求めることができなくなってしまいます。
 
症状固定後に、後遺症が残る場合は、後遺障害認定を検討することになりますが、交通事故から症状固定と診断されるまでの期間が6か月以上ない場合は、後遺障害認定を受けにくいため、注意が必要です。
そのため、患者の自覚症状として、医師の治療を受ける度に症状が改善していると感じているのであれば、症状固定とせず、治療を継続してもらえないか相談すべきです。
こうした事情により、治療の継続が必要と感じている場合は、セカンドオピニオンという形で、他の医師の診察を受けることも検討すべきです。
 

保険会社から症状固定と言われた場合

加害者側の任意保険会社が、被害者の症状から判断して、「症状固定の時期なので治療費の支払いを打ち切る」といった通告を出すことがあります。
しかし、症状固定と言えるかどうかを最終的に判断するのは、治療を行っている医師です。
保険会社から症状固定と言われても、必要な治療は継続する必要があります。
そのため、保険会社から症状固定を理由とする治療費の支払いの打ち切りを告げられたら、次のような対処法を取るべきです。
 

  • ・医師に「症状固定に至っていない」といった意見書(診断書)を作成してもらい、保険会社に治療継続の必要性を伝える。
  • ・それでも治療費の支払いを打ち切られたら、被害者が治療費を立て替えた上で治療を継続し、示談交渉の際に、加害者側に治療費打ち切り後の部分の支払いを求める。

 
なお、加害者側の任意保険会社との交渉は、被害者の方がご自身でやるのは負担が重いです。
また、相手方の担当者は弁護士でないにしても、交通事故の示談交渉に慣れている人なので、被害者側の言い分を聞き入れないことも少なくありません。
このような場合は、弁護士に相談、依頼し、代わりに交渉してもらうことも検討してください。
 

症状固定が確定した後は後遺障害認定を受ける

交通事故によるケガの治療がひと段落し、症状固定と診断された場合は、後遺障害認定を受けることを検討します。
後遺障害等級表により第1級から第14級まで細かく分類されています。
症状固定の時点で、後遺障害等級表のいずれかに該当していると考えられる場合は、医師に相談したうえで、後遺障害認定の手続きに進みます。
交通事故による典型的な症状である、打撲、むちうち、骨折、高次脳機能障害の場合は、それぞれ次のような後遺障害等級に該当している可能性があります。
 

交通事故による打撲の後遺障害

交通事故による打撲が、症状固定となった後も、しびれや痛みが残る場合は、第12級13号または第14級9号の後遺障害等級が認定される可能性があります。
 

第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
第14級9号 局部に神経症状を残すもの

 

交通事故によるむちうちの後遺障害

交通事故によるむちうちが、症状固定となった後も、しびれや痛みが残ったり、頭痛やめまいが続く場合も、第12級13号または第14級9号の後遺障害等級が認定される可能性があります。
 

交通事故による骨折の後遺障害

交通事故による骨折が、症状固定となった後も、後遺症が残る場合は、様々な後遺障害に該当している可能性があります。
例えば、次のような後遺障害です。
 

  • ・「骨折部位のしびれや痛み」が残っている場合は、第12級13号または第14級9号の後遺障害等級。
  • ・「機能障害」という、関節が強直したり、可動域が制限されるといった形の傷害が残った場合は、1級から14級まで後遺障害等級。
  • ・「変形障害」という、脊柱に著しい変形が残ったり、偽関節を残したり、著しい運動障害を残す状態になった場合は、6級から12級までの後遺障害等級。
  • ・「短縮障害」という、下肢の長さが短くなってしまった場合は、8級から13級までの後遺障害等級。

 

交通事故による高次脳機能障害の後遺障害

交通事故により高次脳機能障害となった場合は、重度な場合は介護が必要な状態になりますし、介護が必要なくても、後遺障害に該当している可能性があります。
具体的には次のとおりです。
 

介護が必要な状態の場合
第1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

 

介護は必要ない状態の場合
第3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
第5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

 

後遺障害認定を受けた後で行うこと

後遺障害認定を受けた場合は、加害者側に対して、「後遺障害分」の賠償請求ができるようになります。
具体的には次のような賠償金の請求が可能です。
 

後遺障害慰謝料 後遺障害が残ったことについての精神的苦痛に対する慰謝料
後遺障害逸失利益 後遺障害により労働能力が低下したことで生涯収入が減ったことについて補償を求めるもの

 
こうした賠償金は、加害者側の任意保険会社との示談交渉により請求します。
既に述べたとおり、被害者の方がご自身で、保険会社の担当者と交渉すると、法的に認められている額よりも低い賠償金を提示されてしまう可能性が高くなります。
適切な賠償金を請求するためには、弁護士に依頼し、訴訟も辞さない態度で交渉してもらうことが大切です。
 

後遺障害認定の申請も弁護士に相談の上行う

交通事故の後遺障害認定は、損害保険料率算出機構が行っています。
後遺障害認定を申請する方法としては、被害者自身が必要書類をすべてそろえて、加害者側の自賠責保険会社を介して提出し認定を受ける方法(被害者請求)と、医師に診断書のみを作成してもらい、その他の書類は加害者側の任意保険会社にそろえてもらう方法(事前認定)があります。
事前認定は、被害者の負担は少ないですが、後遺障害認定に有利な資料を添付できるとは限らず、実際の症状よりも低い後遺障害等級で認定されてしまうこともあります。
一方、被害者請求の場合は、後遺障害認定に有利な資料を添付することによって、実際の症状に合わせた後遺障害等級で認定されやすいこともあります。
 
いずれの方法を選択するにしても、後遺障害認定を受けるためには、医師に質の高い診断書を作成してもらうことがポイントになります。
提出前に、後遺障害認定に詳しい弁護士にチェックしてもらい、足りない部分があれば、医師に相談して追加の検査をお願いしたり、訂正を依頼するといった対応が必要になります。
 

まとめ

交通事故で負ったケガの治療がひと段落し、症状固定になったら、後遺障害認定の申請や加害者側との示談を行うべきタイミングになります。
後遺障害認定の申請の際は、医師に診断書を作成してもらうだけでなく、適切な後遺障害認定を受けられるように、交通事故問題に詳しい弁護士に相談して、診断書をチェックしてもらったり、有利な資料をそろえることが大切です。
また、加害者側の任意保険会社から適切な賠償金を受けられるように、示談交渉は弁護士に依頼すべきです。
交通事故後、症状固定となり、後遺障害認定の申請を検討している方は早めに弁護士にご相談ください。

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