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コラム

交通事故の慰謝料は通院だけでなくリハビリでも請求できる? 計算方法、注意点や支払われない時の対処法も解説

2025.01.09

交通事故で怪我を負い治療のために通院した場合は入通院慰謝料を請求できますが、リハビリでも慰謝料をもらうことができます。リハビリのための通院の期間や頻度等、リハビリ特有の注意点について解説します。
 

交通事故の慰謝料は通院だけでなくリハビリの分も請求できる? リハビリの慰謝料請求の注意点を解説

交通事故の被害者は加害者に対して慰謝料を請求することができます。
交通事故の慰謝料と言うと、交通事故で怪我を負わされたことについてのみ請求できるものというイメージがあるかもしれませんが、入院や通院が必要になったことについての分も請求することができます。
この慰謝料を傷害慰謝料(入通院慰謝料)と言います。
そして、傷害慰謝料には、リハビリ期間中に通院した分も含まれます。
通院やリハビリの慰謝料の計算と請求の方法、注意点を解説していきます。
 

傷害慰謝料(入通院慰謝料)とは?

傷害慰謝料(入通院慰謝料)とは何か? 入院や通院にかかった治療費とどう違うのか疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
まず、慰謝料とは、被害者が加害者の行為によって精神的苦痛を被った場合に加害者に対して補償を求めるものです。
そして、傷害慰謝料というのは、被害者が加害者の行為によって怪我を負わされたことにより、入院や通院が必要になったことによって被った精神的苦痛について、加害者に対して補償を求めるという意味になります。
怪我の治療のための通院はもちろんですが、リハビリのための通院も含まれます。リハビリも治療の一環とみなされるためです。
 

交通事故後のリハビリが重要な理由は?

交通事故の治療では怪我の治療だけでなく、ある程度回復した後は、リハビリも大切と言われます。では、なぜリハビリが大切なのでしょうか?
リハビリは、筋肉の緊張を緩和したり、血液循環を促進したりして事故による身体症状の痛みを軽減することを目的に行います。
むちうちなどは放置すれば症状が悪化していき、社会生活や日常生活に支障をきたすことになります。
むちうちをはじめ、事故による頸椎や腰椎など神経が通ってる所の損傷は症状が長期化しやすいです。
場合によっては、めまいや肩こり、頭痛や吐き気などに長期間悩まされることになります。
そのためリハビリで症状の悪化を防ぎ、痛みを緩和しつつ快方に向かうことが重要です。
 
リハビリで一番大切なことは早い段階で治療を開始することです。
むちうちなどは後から痛みが強く出ることもあります。
症状が軽めでも、なるべく早くかつ間隔を空けずに治療を続けていきましょう。
 

リハビリテーションの流れと方法

交通事故からリハビリまでは下記の流れです。
 

  • 1. 保険会社へ治療の連絡を入れることで、保険会社から病院に治療依頼の連絡がいきます。
  • 2. 問診や医師による検査(レントゲン検査、エコー検査等)を行います。
  • 3. 医師の診察を受け、治療方針を決定していきます。
  • 4. 医師の指示に従ってリハビリを開始します。

 
実際のリハビリの方法としては、物理療法や運動療法などがあります。
物理療法は、マッサージや電気療法、超音波療法などが含まれており、痛みの軽減や筋肉緊張の緩和を目指します。
運動療法は、ストレッチやエクササイズを行うことで、筋力や柔軟性の回復を図ります。
 

交通事故の傷害慰謝料(入通院慰謝料)の請求方法は?

交通事故の傷害慰謝料は、交通事故の加害者に対して請求しますが、実際には、加害者側の保険会社と示談を行い請求する形になります。
加害者側の保険会社は、被害者の怪我が完治するか、「症状固定」と言い、これ以上治療効果が見込めない程度になるまで、被害者に対して傷害慰謝料を負担しなければなりません。
 
なお、傷害慰謝料とは、実際に掛かった治療費のことではありません。
治療費や通院のための交通費、通院のために仕事を休んだことについての休業損害については、傷害慰謝料とは別に請求することができます。
 

交通事故の傷害慰謝料(入通院慰謝料)はいつまでの分が請求できるか?

交通事故の傷害慰謝料は、被害者の怪我が完治するか、「症状固定」の状態になるまでの分を請求することができます。
 
まず、怪我が完治すれば、完治後は、通院もリハビリも必要ないわけですから、傷害慰謝料を請求できなくなるのは分かると思います。
一方、「症状固定」の場合は、その後も、定期的に通院やリハビリが必要になることも少なくありません。
交通事故に遭わなければ、通院やリハビリなんてしなくてよかったはずなのに、症状固定となった後の分は、傷害慰謝料を請求できないのは理不尽と思われるかもしれません。
しかし、加害者側の保険会社としても、延々と支払い続けるわけにはいかず、一定期間で区切りを付ける必要があります。その区切りの時点が、「症状固定」ということです。
 

症状固定後の通院やリハビリ分の慰謝料は?

症状固定後も治療が必要な場合は、後遺症が残ったということになります。
交通事故で後遺症になり、その症状が後遺障害等級に該当する場合は、後遺障害等級認定を受けることによって、「後遺障害慰謝料」を請求できるようになります。
つまり、症状固定後の通院やリハビリ分の慰謝料を請求できるかどうかは、後遺障害等級認定を受けられるかどうかにかかっているということです。
 

症状固定後のリハビリはやめた方がいいのか?

症状固定後は、後遺障害等級認定を受けられるかどうかはっきりするまでは、リハビリはやめた方がいいのだろうかと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、症状が続いていて身体がつらい場合は、リハビリを続けるべきです。
リハビリを続けておくことで、仮に後遺障害認定が非該当になった際も異議申し立てをし、症状が残っていることを主張できます。
 

交通事故の後遺障害慰謝料を請求するためには?

交通事故の後遺障害慰謝料を請求するためには、医師から症状固定と認定された後で、後遺障害等級認定を受ける必要があります。
後遺障害等級は、後遺障害の程度に応じて1級から14級まで設けられています。
後遺障害等級認定は、医師から後遺症が残ると言われた場合に必ず認定を受けられるものではありません。
後遺症と後遺障害の定義は異なるからです。
 
後遺症は医師が医学的に診断したものでその程度は、症状によって異なります。後遺症が残っても、労働能力にはほとんど影響がない場合もあります。
それに対して、後遺障害は後遺症が残っており、その後遺症が、労働能力の喪失を伴う症状と認定された場合を意味します。
 
後遺障害に該当するかどうかは、医師が決めるわけではありません。損害保険料率算出機構に後遺障害等級認定の申請を行って、等級を決める形になります。
 

後遺障害等級認定を受けると請求できるもの

交通事故の被害者が後遺障害等級認定を受けた場合は次の2つについて加害者側の保険会社に示談で請求できるようになります。
 

  • ・等級に応じた慰謝料
  • ・交通事故に遭遇していなければ得られていたはずの逸失利益

 
慰謝料は1級ほど多額になり、14級の場合は少なくなります。
自賠責基準では、1級(介護を要する障害)の場合は、4000万円。
それに対して、14級の場合は、75万円となっており、もらえる金額には大きな差があります。
そのため、被害者の後遺障害の状況に応じた適切な後遺障害等級の認定を受けることが大切です。
 

交通事故の慰謝料を請求するための計算基準

交通事故で負った怪我についての傷害慰謝料(入通院慰謝料)や後遺障害慰謝料を請求するための計算基準は次の3つがあります。
 

  • ・自賠責保険基準
  • ・任意保険基準
  • ・弁護士基準(裁判基準)

 
それぞれどのような計算基準なのか確認しましょう。
 

自賠責保険基準

自賠責保険基準は、自動車損害賠償保障法に基づいて、被害者の救済のために最低限必要な金額として定められている基準です。
 

任意保険基準

自賠責保険基準は最低限の保障に過ぎないため、これだけでは補いきれない分について、任意保険会社が保障します。任意保険基準は任意保険会社が独自に定めている基準です。自賠責保険基準とほぼ同じか、若干高い程度にとどまります。
 

弁護士基準(裁判基準)

交通事故の態様によっては、任意保険基準の慰謝料だけでは被害者が納得できないケースもありますし、実際に適正ではないこともあります。
このような場合は、弁護士に相談して慰謝料の増額を求めるための交渉を行うこともできます。過去の裁判例によって、任意保険基準を超える慰謝料の金額が認められていることも多く、3つの基準の中で最も高額になる可能性が高いです。
 

交通事故の慰謝料の計算方法

交通事故の慰謝料がいくらもらえるのか、自賠責保険基準と弁護士基準(裁判基準)で比較してみましょう。
 

自賠責保険基準

自賠責保険基準では、次の計算式を用います。
 

4,300円 × 対象日数

 
対象日数は次のうち少ない方を採用します。
 

  • ・治療期間
  • ・実際に治療した日数 × 2

 
治療期間とは、怪我が治るまでにかかった期間のことです。実際に治療した日数は実際に入院したり通院した期間を意味します。
例えば、むちうちが治るまで6ヶ月かかり、その間に実際に通院した日数が60日の場合は、
 

治療期間 = 180日(6カ月)
60日 × 2 = 120日

 
こうなりますから、自賠責保険基準で請求できる慰謝料は、

4,300円 × 120日 = 516,000円

となります。
 
治療期間の方が短い場合だと、

4,300円 × 180日 = 774,000円

となります。
 

弁護士基準(裁判基準)

弁護士基準(裁判基準)では、日弁連交通事故センター東京支部が発行している「損害賠償額算定基準」(赤い本)に掲載されている入通院慰謝料算定表を用いるのが一般的です。
軽傷用の表と重傷用の表の2種類があります。
 
上記のように軽傷のむちうちで治療期間6ヶ月の場合は、軽傷用の表で入院期間0ヶ月、通院期間6ヶ月として確認すると、「89万円」ほど請求できることになります。
レントゲン写真やMRI画像に異常が見られる等の重症の場合だと、「116万円」ほど請求できます。
自賠責保険基準と比較するともらえる金額が高額になることが分かると思います。
 

リハビリ通院期間中の分についても慰謝料を請求するための注意点

治療のために通院する分については、相手方の保険会社に慰謝料を請求できることに争いはありません。
ところがリハビリのための通院については、通院の頻度によっては、怪我が治ったものと相手方の保険会社に判断されてしまい、支払いを受けられなくなる恐れもあります。
そのため、リハビリ通院期間中の分についても慰謝料を請求するためにはいくつかの注意点があります。
 

転院する場合は加害者側の保険会社に連絡しておく

治療は大きな病院に通い、リハビリは地元の診療所などで受けることを検討する方もいらっしゃると思います。
この場合は、先に治療した病院の医師から紹介状を書いてもらい、転院や転医して、リハビリを受けることも可能です。
ただ注意したいのは、加害者側の任意保険会社に治療費を支払ってもらっている場合、転院や転医した旨の連絡を入れておかないと、治療費の支払いが遅れたり、支払ってもらえなくなる可能性があるということです。
治療費だけでなく、慰謝料も支払ってもらえなくなる恐れがあるので注意してください。
 

接骨院でのリハビリ分は慰謝料を支払ってもらえない可能性がある

リハビリは、病院の理学療法士が対応する場合でも、接骨院や整骨院で柔道整復師の下で行う場合でもほぼ似たようなことを行います。
そのため、リハビリは混んでいる病院よりも近くの接骨院や整骨院で受けようと考える方も多いと思います。
結論から言うと、接骨院や整骨院でリハビリを受けることもできますし、慰謝料の支払いも受けられます。
ただ、次の2点に注意してください。
 

  • ・主治医の許可を得る
  • ・並行して病院にも通う

 
接骨院や整骨院は病院ではないため、そこに通うことが、交通事故で負ったケガの治療のためなのかどうかはっきりしません。
そのため、「主治医の判断でリハビリのために必要だから通っている」という事実が必要です。
また、治療が継続していることを示すためにも、接骨院や整骨院に通うのと並行して、病院で医師の診察を受ける必要があります。
上記の2点を無視して、自分の判断だけで接骨院や整骨院に通っている場合は、慰謝料はもちろん、通院の費用や交通費が支払われない可能性があります。
 

必要なリハビリはしっかりと受ける

ケガが完治するか症状が固定するまでは、必要なリハビリはしっかりと受けることが大切です。
リハビリが必要なのに面倒だからとサボっていると、加害者側の任意保険会社からは、もはやリハビリは必要ないものと判断されてしまい、慰謝料やリハビリ費用を支払ってもらえなくなることもあります。
また、リハビリと言っても、マッサージや電気療法を受けるだけだったり、湿布や薬をもらっているだけだと、「漫然治療」とみなされてしまい、症状改善のために必要な治療やリハビリではないと判断されて、慰謝料やリハビリ費用の支払いが受けられなくなることもあります。
リハビリに通うのは大変だと思いますが、その苦労の見返りとして、慰謝料が支払われるということを意識してみてください。
 

慰謝料は日数で換算される

慰謝料は日数で換算されることに注意してください。
つまり、一日に2か所の医療機関等でリハビリを受けても、慰謝料は1日分しかもらえないということです。
例えば、午前中に整形外科で診察を受けた後で、午後から接骨院や整骨院でリハビリを受けても、入通院慰謝料が2回分としてカウントされるわけではなく、1日分にしかならないということです。
 

加害者側の任意保険会社から打ち切りを打診されることがある

交通事故によるケガの治療に必要な治療費や入通院慰謝料は、ケガが完治するか、症状固定の状態になるまで支払われます。
ケガが完治したか、症状固定の状態になったかは、主治医が判断しますが、加害者側の任意保険会社から、症状固定に至ったりリハビリが終わったものとして治療費打ち切りを打診されることもあります。
この打診を受け入れてしまうと、それ以降の治療費はもちろん、リハビリ費用の支払いも受けられなくなってしまいます。もちろん、入通院慰謝料も支払われません。
さらに、治療開始から症状固定までの期間が短い場合は、後遺症が残っても、後遺障害等級認定を受けにくくなってしまう恐れがあります。
一般的には、症状固定までの治療期間が6ヶ月以上ないと後遺障害等級認定を受けにくいのが実情です。
加害者側の任意保険会社から治療費打ち切りを打診された場合でも、それを受け入れなければならないわけではありません。
まだ、治療が必要だと感じているならば、主治医と相談して必要な治療やリハビリを継続することが大切です。
 

健康保険を使ってリハビリを受ける場合は150日ルールに注意する

加害者側の任意保険会社が任意一括対応をしない場合は、被害者が自分の健康保険を使って治療やリハビリを受けた後で、任意保険会社に対して、立て替えた費用を請求する形になります。
ただ、一般的にはリハビリで健康保険が使えるのは、発症から150日間とされているので注意しましょう。
 

交通事故で通院やリハビリを続ける場合は弁護士のサポートを受けよう

交通事故の怪我の治療のために通院やリハビリを続ける場合は、弁護士のサポートを受けてください。
交通事故で怪我を負い、入院した場合はもちろんですが、退院後も通院やリハビリを続ける場合は、その分の治療費や交通費、慰謝料を受け取ることができます。
ただ、加害者側の任意保険会社は、特に、リハビリ期間中の分について減額を主張したり、自賠責基準に近い金額しか支払わないといった対応を取ることがあります。
また、リハビリの途中で治療費打ち切りを打診されてしまい、適切なリハビリや治療を受けられなくなることもあります。
こうした事態を避けるためには、加害者側の任意保険会社に対して、主張すべきことは毅然と主張すべきですが、聞き入れてもらえないことも少なくありません。
そんな時は、弁護士にご相談、ご依頼ください。
弁護士なら、被害者の怪我の状況や主治医の診立てを確認した上で、加害者側の任意保険会社に対して、適切な治療費の支払いや慰謝料の支払いを求めることができます。
また、後遺障害等級の認定が受けられるほどの後遺症が残る場合も、後遺障害等級認定を受けるために必要な対策についてアドバイスすることができます。

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