解決事例
センターラインを越えた対向車に衝突され6級の後遺障害が認定され、交通事故紛争センターの斡旋で和解した事例
1.事故状況
Aさんが道路を直進中、居眠り運転の車がセンターラインを越えてきて正面衝突されました。
Aさんは顔面、右上肢、左胸部を強打し、病院に救急搬送され緊急入院となりました。骨折の手術の後通院治療となりましたが、右手の手術のために新たに手術を受け、リハビリを続けて事故から2年8か月後に症状固定となりました。
Aさんは怪我の治療だけでなく、事故による心的外傷ストレスにより自立神経失調や睡眠障害などの症状が生じ、2年弱の通院治療を余儀なくされました。
2.相談のきっかけ
事故から半年が経過したころ、Aさんは当事務所のホームページを見て、弁護士に相談に来られました。
弁護士と面談の後、Aさんは加害者側保険会社との今後の交渉を弁護士に委任されました。
3.弁護士の活動
Aさんは治療が継続中でしたので、弁護士は治療の状況を見ながらAさんの相談に乗りました。
事故から1年半後に、加害者側保険会社から治療費の支払いの打ち切りの話がありましたが、弁護士は治療継続の必要性を伝え認めさせました。
Aさんは長期の治療を余儀なくされましたが、事故から2年8か月後に症状固定となり、弁護士は後遺障害診断書、MRIやレントゲンの画像および画像所見等の資料を揃え、自賠責調査事務所に対し後遺障害認定の被害者請求を行いました。
弁護士はAさんの骨折による右肘、手関節の痛みと右前腕、手関節の可動制限はそれぞれ12級の後遺障害にあたると主張しました。
弁護士は、事故による顔面の傷痕が「外貌に著しい醜状を残すもの」として7級の後遺障害に該当すると主張しました。
自賠責調査事務所はそれぞれ認定した障害等級を併合し、併合第6級の後遺障害と認定しました。
4.弁護士関与の成果
Aさんの後遺障害等級の認定を受けて、弁護士は加害者側保険会社と損害賠償についての示談交渉を行いました。
加害者側保険会社の提示額においては、逸失利益について労働能力喪失期間を10年しか認めず、金額に大きな差があり交渉がまとまりませんでした。そこで、弁護士は交通事故紛争処理センターでの斡旋を申し立て、今回の事故による労働への支障を強く訴えました。
センターからは斡旋和解案が出され、労働能力喪失期間を20年間としたので逸失利益は加害者側保険会社提示額の2.5倍となりました。
損害賠償金は総額で656万円アップとなり、治療費、交通費を除いた手取り金額は23%のアップとなりました。
損害賠償金の内訳
加害者側保険会社提示額 | 斡旋和解額 | |
治療費、交通費等 | 220万円 | 220万円 |
休業損害(本人) | 536万円 | 536万円 |
付添費(配偶者) | 287万円 | 287万円 |
逸失利益 | 408万円(10年) | 1028万円(20年) |
入通院慰謝料 | 210万円 | 245万円 |
後遺障害慰謝料(6級) | 1380万円 | 1380万円 |
合計 | 3041万円 | 3696万円 |
5.弁護士の所感
Aさんは命にかかわるような大きな事故に遭遇し、長期の治療を強いられました。事故による精神的な後遺症にも苦しめられ家族の方にも大きな負担となりました。
Aさんは事故後の早い段階に相談に来られて示談交渉を依頼されましたので、保険会社との交渉のことは弁護士に任せて治療に専念することができました。
加害者側保険会社の示談交渉では、双方が主張する損害賠償金額に大きな隔たりがあり話し合いだけでは交渉が纏まらないことがあります。このようなときには、公的な斡旋機関を利用することも有効な手段です。
弁護士は、直接の示談交渉を継続するのか、斡旋機関を利用すべきかを多くの経験した事例から判断して、依頼者が最善の結果を得られるように対応します。
今回も交通事故紛争処理センターでの斡旋を利用することにより、Aさんが納得できる損害賠償金を得ることができました。
高の原法律事務所
所長 坪田 園子
代表弁護士である坪田園子は、「顔の見える関係」を何より大切にしております。依頼者とは、必ず直接お会いして、お話をじっくりとお伺いしたうえで事件をお受けしております。奈良の高の原という奈良の郊外で、地域密着の依頼者対応をモットーとしております。最初は不安な顔で相談に来られた方も、無事に解決した後は、笑顔になって帰られます。一人でも多くの方の笑顔が見られるように精進致します。ぜひお気軽にご相談をくださいね。