解決事例
自動車道出口の渋滞で停止中に追突され負傷、11級の後遺障害が認定され、交通事故紛争センターの斡旋で和解した事例
1.事故状況
Aさんが自動車道の出口で渋滞のため最後尾で停止していたところ、後ろから来た車が脇見運転のため時速70kmで追突しました。
Aさんは外傷性頸部症候群、頚肩腕症候群、頚椎椎間板ヘルニア、下肢閉塞性動脈硬化症、末梢神経障害性疼痛などの傷害を負いました。
事故後徐々に手、腕、足に痺れが生じ、歩行障害も発生したので頚椎椎間板ヘルニアについての手術を受けました。その後はリハビリを続け、頸部痛、上腕の痺れ、肩に痛みを残したまま、事故後2年3か月後に症状固定となりました。
2.相談のきっかけ
事故の後、Aさんは当事務所のホームページを見て、弁護士のコメントが良かったので、弁護士に相談に来られました。
弁護士と面談の後、Aさんは任意保険の弁護士特約を使い、加害者側保険会社との今後の交渉を弁護士に委任されました。
3.弁護士の活動
Aさんが医師から強く勧められた頚椎椎間板ヘルニアの手術については、加害者側保険会社と連絡を取り、スムーズに手術が行われるように段取りをつけました。
Aさんは医師の指示に従い、手術後は安静にして状態が落ち着てからリハビリを行いましたが、腕や足の痺れはなかなか改善せず、痛みや痺れを残したまま症状固定となりました。
Aさんの症状固定を受け、弁護士は自賠責調査事務所に対し、後遺障害認定の被害者請求を行いました。
弁護士は医師の後遺症診断書やMRI画像所見などから、Aさんの頚椎に大きな外傷性ヘルニアが発生し、手術を受けたものの痺れや痛みが残っており、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として、後遺障害12級に該当すると主張しました。
また、頸部の可動制限が大きいため、弁護士は「脊柱に運動障害を残すもの」として、後遺障害8級に該当すると主張しました。
自賠責調査事務所は頚椎の手術施行から、「脊柱に変形をのこすもの」として第11級の後遺障害と認定しました。
4.弁護士関与の成果
Aさんの後遺障害等級の認定を受けて、弁護士は加害者側保険会社と損害賠償についての示談交渉を行いました。
加害者側保険会社との示談交渉においては、逸失利益の算定が大きな争点になりました。
弁護士は、後遺障害11級をもとに労働能力喪失率を20%と主張するのに対し、加害者側保険会社は椎間板ヘルニアが家事に与える影響は神経症状の痛みであるとして、労働能力喪失率14%を主張してきました。
また、加害者側保険会社は、事故で椎間板ヘルニアが発生したとは考えにくいとして、35%の素因減額(後遺症の原因が事故以外にもあるとして相当分を減額すること)を主張しました。
弁護士は、Aさんは過去に頚椎については、過去に何の症状もなく治療を受けたこともないので素因減額には理由がないと主張しましたが、加害者側保険会社の態度は変わらなかったため、交通事故紛争処理センターへ示談斡旋の申し立てを行いました。
交通事故紛争処理センターでは何度か話し合いがなされた後、センターから斡旋案が提示されました。斡旋案では弁護士の主張がすべて認められ、労働能力喪失率については20%とし、素因減額は認めなかったので、弁護士は斡旋案に同意しました。
損害賠償金額は1090万円のアップとなり、治療費、交通費を除いた実質の手取り額は、加害者側保険会社提示額の229%となりました。
Aさんは、最終的に正当な損害賠償金額が認められたので、納得して斡旋案を受け入れることができました。
損害賠償金の内訳
加害者側保険会社提示額 | 斡旋和解額 | |
治療費、交通費等 | 356万円 | 356万円 |
休業損害 | 144万円 | 300万円 |
逸失利益(22年) | 693万円(14%) | 990万円(20%) |
入通院慰謝料 | 227万円 | 227万円 |
後遺障害慰謝料(6級) | 400万円 | 400万円 |
合計 | 1820万円 | 2273万円 |
素因減額 | 637万円 | 0 |
合計 | 1183万円 | 2273万円 |
5.弁護士の所感
Aさんは無過失でありながら事故に巻き込まれ、2年以上に渡り治療を余儀なくされた上に、今後も後遺症に悩まされることになりました。
当然Aさんには、事故の代償として被害に見合う損害賠償金を受ける権利があります。しかし、加害者側保険会社の中には、いろいろな理屈をつけて正当な損害賠償金を支払おうとしない会社も見受けられます。
しかし、被害者が加害者側保険会社と渡り合って自分の主張を通したり、公的な機関を使って解決を図ったりするのは大変ハードルが高いと言えます。
特に大きな事故の場合は、早い段階から弁護士に相談したり、加害者側保険会社との交渉を委任したりするのが被害者にとって得策と言えます。
弁護士は、事故や怪我や後遺症の状況から、どの程度の損害賠償額が妥当かを判断し、加害者側保険会社との交渉に臨みます。
必要であれば、公的機関である交通事故紛争処理センターでの斡旋を利用したり、場合によっては裁判所に提訴したりして、被害者にとって最善の結果を実現することに全力を注ぎます。
高の原法律事務所
所長 坪田 園子
代表弁護士である坪田園子は、「顔の見える関係」を何より大切にしております。依頼者とは、必ず直接お会いして、お話をじっくりとお伺いしたうえで事件をお受けしております。奈良の高の原という奈良の郊外で、地域密着の依頼者対応をモットーとしております。最初は不安な顔で相談に来られた方も、無事に解決した後は、笑顔になって帰られます。一人でも多くの方の笑顔が見られるように精進致します。ぜひお気軽にご相談をくださいね。