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解決事例

センターラインを越えてきた車と正面衝突し負傷、9級の後遺障害が認定された事例

1.事故状況

Aさんが片側1車線の道路を走行中、対向車線の車がセンターラインを越えてきてAさんの車に正面衝突しました。

Aさんの車は大破し、全損状態となりました。この事故で、Aさんは頭部打撲、鼻骨骨折、右肩捻挫、頚椎捻挫、外傷性両側顎関節症などの傷害を負いました。

受傷当初からあごの痛み、頸部痛の症状が続き、Aさんは医師の指示に従いリハビリ治療を行いました。

事故から8か月後にAさんは症状固定となりました。

2.相談のきっかけ

事故から1ヶ月経った頃に、Aさんの御家族の方が、今後の治療や加害者側保険会社との示談交渉について、どのようにしたらよいかの相談に来られました。

弁護士との面談の後、御家族の方は当事務所の弁護士に委任した方がよいと判断されました。Aさんはご家族の話を聞いて、今後の加害者側保険会社との交渉を弁護士に委任されました。

3.弁護士の活動

Aさんの治療は長期に渡りましたが、弁護士はAさんの治療に対する要望をその都度加害者側保険会社に伝え、Aさんが十分な治療を受けられるように努めました。

Aさんの症状固定を受けて、弁護士は医師の診断書やレントゲン及びMRI画像などの資料を揃え、自賠責調査事務所にAさんの後遺症認定の申請をしました。

弁護士は、Aさんの後遺症として、左側顎関節に痛みが残ったことから、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として第12級に相当すると主張しました。また、下顎に大きな赤班が残ったことから、「外貌に著しい醜状を残すもの」として第7級に該当すると主張しました。さらに、Aさんの項頸部痛の痛みは事故によるものとして、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として第12級に相当すると主張しました

自賠責調査事務所は審査の結果、Aさんの後遺障害は、顔面に残った瘢痕は人目につく程度以上と認め、「外貌に相当程度の醜状を残すもの」として第9号16号と判断しました。項頸部痛の痛みについては、将来においても回復が困難な障害と捉え「局部に神経症状を残すもの」として後遺障害14級に該当すると判断しました。

 これらの障害を併合して、Aさんの後遺障害は併合第9級と認定されました。

後遺障害の認定に伴い、弁護士は加害者側弁護士と交渉を行いました。

 

4.弁護士関与の成果

加害者側弁護士と交渉の結果、和解が成立しました。

交渉の大きなポイントは2つでした。

① 逸失利益

通常、後遺障害9級の場合の労働能力喪失率は35%が適用されるが、傷痕は直接労働能力を低下させるものではないので、それより低い喪失率が適用されるのはやむを得ない。

しかし喪失期間を5年にするのは余りにも不適切であると弁護士は指摘しました。顔面に残る傷痕は消失することがないので、67歳までの期間を喪失期間とすべきであると主張して認めさせました。

② 後遺障害慰謝料

加害者側保険会社は自社の独自の基準の金額を提示しましたが、弁護士は裁判基準として使われる金額を主張し認めさせました。

交渉の結果は次のように大幅なアップになりました。

 

加害者側保険会社案 和解金額
治療費、交通費等 88万円 88万円
休業補償 71万円 84万円
通院慰謝料 100万円 134万円
逸失利益  88万円(5%,5年) 424万円(5%,37年)
後遺障害慰謝料(9級)    580万円     690万円
損害賠償金合計 927万円 1420万円

 

 弁護士の交渉の結果、損害賠償金は493万円アップしました。これは治療費を除いた金額の約58%アップに相当します。

 

5.弁護士の所感

加害者側保険会社は、被害者への損害賠償金額を少なくするため、信じがたいほどの低い金額を提示することがあります。皮膚表面に傷痕などが残った醜状痕については労働能力に影響しないとして逸失利益自体を計上しないこともよくあります。しかし、傷痕は人と対面する仕事は勿論、主婦であっても労働能力に影響するとして逸失利益を認めている裁判例も多数あるので、粘り強く交渉する必要があります。

また、逸失利益が認められたとしても、労働能力喪失期間を制限してくることもあります。

労働能力喪失期間5年は、むち打ちで14級の後遺障害の場合には5年を限度として認められます。9級の場合は67歳までの年数とするのが通常です。

示談交渉に慣れていない人であれば、内容がよくわからず受け入れてしまうかもしれませんが、弁護士としてはありえないことです。

大きな事故で後遺障害の程度が大きい時には、特に注意が必要です。加害者側保険会社から示談金額案が提示されたら、弁護士に委任するかどうかにかかわらず、まずは弁護士に相談して専門家としての意見を聞いてから判断するのがお薦めです。

  弁護士は、これまで経験した多くの事例から、示談金額案の個々の数字について、適切かどうかを検証し、対応策をお示しすることができます。

 

弁護士 坪田 園子

高の原法律事務所

所長 坪田 園子

代表弁護士である坪田園子は、「顔の見える関係」を何より大切にしております。依頼者とは、必ず直接お会いして、お話をじっくりとお伺いしたうえで事件をお受けしております。奈良の高の原という奈良の郊外で、地域密着の依頼者対応をモットーとしております。最初は不安な顔で相談に来られた方も、無事に解決した後は、笑顔になって帰られます。一人でも多くの方の笑顔が見られるように精進致します。ぜひお気軽にご相談をくださいね。

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