解決事例
バイク事故で12級の後遺症を認定されたが交渉での示談が纏まらず、交通事故紛争処理センターで裁定を受けた事例
1.事故状況
Aさんはバイクで交差点を直進していました。右折しようとした対向車が安全確認を怠り、Aさんのバイクの前部に衝突しました。この事故で、Aさんはバイクと一緒に跳ね飛ばされ、左膝前十字靭帯損傷、左膝内側平月板損傷、右足門節三角靭帯損傷、頚椎捻挫の怪我を負い、救急車で搬送され治療を受けました。
Aさんの怪我の程度は重く、事故後8ヵ月で症状固定となりました。症状固定を受けて、加害者側保険会社は自賠責損害調査事務所に後遺障害事前認定の申請をして12級の認定を受けました。
加害者側保険会社は、この結果に基づきAさんに治療費などの実費を除いた損害賠償金として、277万円の提示をしました。
Aさんは、提示された示談条件が納得できなかったので、交通事故紛争センターでの調停を申し立てました。3回程度の調停を経て半年近く経過しても、Aさんの思うような解決に向かいませんでした。
2.相談のきっかけ
Aさんは、これ以上の対応は専門家に任せた方がよいと考え、当事務所のホームページを見て来訪されました。
Aさんは、任意保険の弁護士特約に加入されており、弁護士と相談の結果、今後の示談交渉に関する業務を弁護士に委任されました。
3.弁護士の活動
Aさんからこの事故についての対応を委任された弁護士は、相手方保険会社から、診断書、レセプト、現場説明図、後遺症認定資料等の一切の関係資料を取り寄せました。又、加害者の公訴記録も取り寄せ、事故の状況を精査しました。
弁護士はこれらの資料を分析した上で、紛争処理センターでの調停に臨みました。加害者側保険会社とは、過失割合、通院慰謝料、逸失利益についての見解に大きな差がありました。
調停では合意に至らず、紛争処理センターの斡旋案が提示されました。Aさんはこれを受諾しましたが、加害者側保険会社は受諾を拒否しました。この結果、交渉は紛争処理センターの「裁定手続き」に移行し、双方が意見を提出した後裁定額が示されました。斡旋案を拒否した加害者側保険会社は裁定を拒否することはできず、Aさんが裁定を受け入れたので、事故から2年2か月後に示談が成立しました。
4.弁護士関与の成果
逸失利益の算定において、症状固定時にはAさんは大学を卒業し、就職していたことから、弁護士は逸失利益の算定基準となる基礎収入を、大卒全年齢平均給与額とするよう主張し、加害者側保険会社の提示金額を大幅にアップさせました。
当初、加害者側保険会社は逸失利益算定の期間について、12級の認定にも拘わらず労働能力喪失期間を当初の5年間は14%、その後の5年間は5%と主張しましたが、弁護士は当初の5年間以降は67歳まで5%とするよう主張し認めさせました。
この結果、Aさんの損害賠償額は当初の提示額より大幅に増額となり、Aさんは納得して示談を受け入れました。
当初の加害者側保険会社の提示金額に比べて、実費を除いた損害賠償額は約3.3倍に、金額にして628万円の増額となりました。
損害賠償金額の内訳は
治療費、交通費等 | 39万円 |
休業損害 | 34万円 |
通院慰謝料 | 135万円 |
後遺障害逸失利益 | 682万円 |
後遺障害慰謝料(12級) | 280万円 |
小計 | 1,170万円 |
相殺過失(20%) | -234万円 |
合計 | 936万円 |
5.弁護士の所感
本件は、Aさんがすでに自分で交通事故紛争処理センターへ調停を申し立てておられましたが、被害者が最後まで自分だけで交渉を行うのは困難な場合があります。
途中からでも弁護士に協力を求められたことは結果的に良かったと言えます。加害者側保険会社は支払う損害賠償金をできるだけ少なくするため、いろいろなテクニックを使って自分たちの主張を正当化しようとします。
弁護士が入っていると、相手の主張の妥当性を判断して、どのように相手の主張に対抗するかが容易になります。
交通事故の示談交渉には、できるだけ早く弁護士を代理人として参加させることをお薦めします。自分自身で交渉をしていても、ストレスを感じられたり、行き詰まりを感じられたら、その時点からでも弁護士に相談されることをお薦めします。
高の原法律事務所
所長 坪田 園子
代表弁護士である坪田園子は、「顔の見える関係」を何より大切にしております。依頼者とは、必ず直接お会いして、お話をじっくりとお伺いしたうえで事件をお受けしております。奈良の高の原という奈良の郊外で、地域密着の依頼者対応をモットーとしております。最初は不安な顔で相談に来られた方も、無事に解決した後は、笑顔になって帰られます。一人でも多くの方の笑顔が見られるように精進致します。ぜひお気軽にご相談をくださいね。