解決事例
むち打ちについて後遺障害14級が認定され、さらに時価を超えた賠償金額を得ることができた事例
1.事故状況
80代の男性が、早朝に交差点で信号待ちをしていたところ、前方不注意の車に追突されました。男性は、腰椎捻挫、頸椎捻挫(むち打ち)の怪我を負い、長期の治療を余儀なくされました。
2.相談のきっかけ
被害者は、永年運転をしているが、事故に会うのは初めてのことであり、物損、人損について保険会社との煩わしい交渉が負担になり、弁護士に相談されました。
3.弁護士の活動
依頼を受けて弁護士は、加害者側の保険会社と物損の交渉を開始しました。
被害者の車の修理の見積は65万円でしたが、保険会社の賠償提示額は48.4万円でした。中古車としての市場価値はその程度であり、車の時価以上の修理費は支払えないというのが保険会社の考え方です。
被害者の感情としては、ダメージを受けた車を修理する場合も、新たに車を購入する場合も、いずれの場合も過失のない被害者である自分が、差額の費用を支払わねばならないといのは納得できません。
弁護士は、この賠償額の差額を埋めるために保険会社と交渉を開始しました。
被害者に事故時の車と同程度の中古車を探して貰い、その見積を元に保険会社と交渉しました。しかし、保険会社としては、当初の提示金額にこだわり、なかなか交渉は進展しませんでした。新しい車が納車されるまでは、保険会社は被害者に代車を用意せねばなりません。交渉が纏まらないとこの費用が嵩みますので、弁護士は全体としての費用を考えた場合、少し妥協しても早く解決した方が得策であると、保険会社を説得しました。
結局、両者の主張の間ということで60万円強で合意が成り立ちました。被害者は当初の金額を大きく上回る賠償額を得て、少しの自己負担で今までのものと同じ車を入手できました。人損については治療に時間がかかったため、解決したのは事故から1年2ヶ月後でした。
被害者は近くの整形外科で通院による治療を8ヶ月半に渡り受けました。症状固定後、被害者はMRIによる診断を受け、弁護士はその結果をもとに後遺症認定の申請をしました。その結果、後遺症へ併合第14級と認定されました。
弁護士は、後遺症認定結果や、治療のための通院期間、治療費、交通費をもとに、保険会社に損害賠償請求を行い、粘り強い交渉で被害者は納得できる賠償金を獲得しました。
4.弁護士関与の成果
通常、むち打ちについては、後遺障害等級が認められない場合が多いのですが、弁護士は被害者にMRIによる画像診断を受け、医師の診断書の作成を貰うことを強く進め、その結果を自賠責損害調査事務所に提出することで、被害者の後遺障害が認められました。
通院していた医院では被害者が依頼するにも拘らず、医師がMRIを撮ることに否定的でした。MRIは後遺症認定には不可欠ですので、弁護士は被害者の住所近くで高性能なMRI設備を持つ総合病院を探し、そこに行ってMRIを撮るように被害者に勧めました。MRIの画像をもとにした診断書で、頚椎と腰椎の捻挫によるしびれが将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられました。その結果、後遺症認定において、併合第14級と認定されました。
後遺症認定がされるかされないかで、損害賠償金額は大きく異なります。後遺症が認定されると、後遺症慰謝料が14級で110万円となり、逸失利益も認定されます。これは、傷害の程度に応じて、収入の一定額が失われるものを補償するものです。
被害者は高齢でしたが、家事をせねばならない立場にありましたので、標準的な70歳以上の男性の賃金を元に、逸失利益を算定しました。又、この標準賃金額は治療のために通院した105日間の休業補償の算定基準にもなりました。当初、保険会社は、高齢の男性被害者を家事従事者とすることに疑問を示しましたが、弁護士は、それを立証する資料を保険会社に提示したので、保険会社も弁護士の主張を認めました。
弁護士が被害者のために力を尽くした結果、家事従事者ということを前提に、最終的には損害賠償金456万円を得ることで示談しました。
内訳は
治療費、交通費等 | 81万円 |
慰謝料 通院 | 112万円 |
後遺障害 | 110万円 |
休業損害 | 94万円 |
逸失利益(5年) | 59万円 |
5.弁護士の所感
被害者がなれない事故対応にどうしてよいか分からないときに、加害者側の保険会社が事務的な態度で連絡してくることで、被害者のストレスや不快感が増大します。被害者は落ち度がない者がどうしてこんなに身体的、精神的、経済的に苦しまなければならないのかと思うと、やりきれない思いになります。
このようなときに弁護士は、煩わしく、場合によっては不快に感じられる加害者側との交渉を引き受けることで、被害者の精神的な負担を大きく減らすことができます。
今回は、弁護士の適切な助言と粘り強い交渉で、人損では後遺障害の認定を得ることができ、慰謝料や逸失利益が補償されました。物損では大きな負担なしに、代わりの車の入手も楽になりました。結果として、被害者の大きな助けになったものと思います。
高の原法律事務所
所長 坪田 園子
代表弁護士である坪田園子は、「顔の見える関係」を何より大切にしております。依頼者とは、必ず直接お会いして、お話をじっくりとお伺いしたうえで事件をお受けしております。奈良の高の原という奈良の郊外で、地域密着の依頼者対応をモットーとしております。最初は不安な顔で相談に来られた方も、無事に解決した後は、笑顔になって帰られます。一人でも多くの方の笑顔が見られるように精進致します。ぜひお気軽にご相談をくださいね。